教員という仕事 「ブラック化」は教員だけではない

学校・家庭

教員という仕事 なぜ『ブラック化』したのか(朝日新書)」で、教員の多忙化を朝比奈なをさんが分析している。公立高校で20年間教壇に立ったあと、大学非常勤講師や教育相談員などをなさっています。

教員は本当に忙しい

2016年に文科省が実施した公立小中学校教員の「教員勤務実態調査」では、過労死ラインを超えている週20時間以上の残業をしている教員は、小学校で33.5%、中学校で57.7%だった。自宅での持ち帰り仕事の時間は含まれないと言います。

教育研究科の妹尾昌俊さんによれば、他の業界と比べて群を抜いて長いという。また、「勤務時間の過少申告の横行、改ざん指示まで 学校で進む残業の『見えない化』」ということも起きています。

けれども、こういったことは、「教員だから」起きているのではなく、全産業的な問題です。

おそらく、全産業の労働時間は、残業代を申告している時間のはずです。サービス残業はカウントされていません。長時間労働で体調を崩したとき、それを労災を申請したり会社に是正措置を求めるには、個々人がその「見えない化」された記録をなにかしら取っておかなくてはならないし、それが証拠として認められるかもわかりません。

つまり全産業と比べて「教員はこんなに特殊です。」と言っても、現状ではあまり関心をもってもらえていません。

ようするに、私も含め日本の労働者は、ルールに基づいて労働をしてこなかったという元も子もない結論になってしまうのですが、ではどうすればいいのか。

職場に「36協定を超えるのでこれ以上残業できません。」と言って認められることは、一部のホワイト企業を除いてまずないのではないでしょうか。むしろ、これいじょう残業をつけるなという有形無形の圧力が加わることになります。ほんとうに根深い問題だと思います。

教員のリアル

後半は、それぞれの年代の教員の「教員のリアル」をインタビュー形式で紹介しています。年代によって、まったく仕事観がちがって興味深いですが、みなさんかなり「仕事ができる」タイプなので、むしろ仕事をかかえこんでいるのではないでしょうか。好きでやっていると言ってもいいと思いますが、こういった「こだわり」こそが、「ブラック化」に貢献している面があります。「こだわり」のある教員は、「手を抜いている」教員を目の敵にしがちです。(ここに登場した教員のみなさんは心が広い方たちだと思いますが)

文科省は「仕事を減らせ」と言っているのに、学校現場は減らす気配がありません。

なぜなら「働き方改革」と言っても、どこから手をつけていいか、どこが問題なのかも認識されていないからです。

現在の学校は、「体育会系」「マチズモ」的な価値観でおおわれているように見えます。「改革」しようとする教員たちは、「仕事に不熱心」のレッテルを貼られかねません。教員同士の相互監視する状況でスタックしています。敵は内にいる。そこを認識しなくては、「働き方改革」は覚束ないでしょう。

朝比奈さんの最後の言葉は、「ブラック化」の原因を象徴しています。

「将来の日本のためには多様性を尊重する教育が必要としばしば言及されながら、その指導する教員は、養成・採用・研修を通じて同質性が強められ、厳しい環境も相まって、強い上下関係と集団規範をもつ『ムラ社会』化が進んでいる。(P220)

「ブラック化」は日本社会に根付いた「体育会系」「マチズモ」の表出なのでしょう。

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